カリフォルニアの庭と黒猫と里子

庭・猫・健康・里子のことなど

黒人差別 里子の未来のために

暴動が激化する1日前、仕事に出かけようと急いで車を走らせていたら市役所の前でゆっくりとプラカードを一人で掲げて歩いている初老の黒人女性を見かけました。

 

Black Lives Matter.

たった一人でお花の絵で飾ったプラカードを掲げ、ゆっくりゆっくり歩いていました。

 

悲しそうながらも強い思いを感じられる表情をされていました。その姿を見て、この人はどういう思いをして生きてきたんだろ。この人は、そしてこの人の親やおじいさんおばあさん、ひいじいさんひいばあさんはどんな思いをして一生を送ったんだろう。って思ったら涙が出てきてしまいました。

 

このあとうちの町でも少しずつ抗議運動は広まっていきました。

 

少しずつ進歩してるとはいえ、黒人差別の根は本当に深いです。

 

去年姉がガーナに仕事に行きました。

その時に港のそばにあった歴史的建造物の門。

そこには Point of No Return と書かれていたそうです。

 

ここから先にいったら戻れないということ。

 

その門からどれだけの人が奴隷としてヨーロッパ、アメリカに連れていかれたのでしょうか。。。

 

黒人に対する激しい暴力的差別は日常茶飯事で起きているこの国。ずっと前から多分もっと多く起きていたのでしょうが、おそらく簡単にビデオが撮れるようになったことも身近に感じるようになった一因なのだと思います。ニュースにならないで起きていることなんてたくさんあると思います。

 

 

アメリカでは車を走らせていて、警察に止められるときは黒人の人たちはかなり注意しなくてはいけません。勝手に銃に手を伸ばしていると勘違いされ、殺されることがあるからです。

 

 

一度フリーウェイで路肩に止めさせられている黒人一家の車を横目でみたことがあります。BMWを運転していて、裕福そうな、日曜だったので教会の帰りでしょうか、みんなきれいな服を着ている家族でした。

 

それでも運転していたお母さんは気をつけて車を路肩に止め、顔は緊張と恐怖に満ちていました。一瞬でしたが私の目にそのお母さんの顔が印象に残ったのをおぼえています。

 

 

私のうちの裏庭側には黒人さん一家が住んでいます。

 

里子をはじめて受け取ったとき、一家のお父さんに言われました。君たちがやってることは素晴らしいことだと思う。だけど黒人の男の子を育てるということはどう言うことだかわかってるのか? 警察に対してどういう態度をしなくてはいけないか、犯罪者と勘違いされないように教育できるのか?命を守るために厳しくしつけないとダメだ。その覚悟はあるのか?私も手伝えることがあれば手伝うから、いつでも聞いてくれ。と言われたのです。

 

旦那はこの国で育ってるのでもちろんその事実は知っていたけど、実際に自分の家族にそういう問題が出てくることを改めて認識したといってました。私はな~んもわかってなかった。

 

そしてプリスクール(年中さん)を始めたとき、ある日機嫌がすごく悪かった里子の様子をみて、あれ、なにか学校であったの??と聞いてみると

 

ママ、僕は悪い子なんでしょ?黒人だから。

僕のママ(産みの親)が白人の方がいい人間なんだって言ってた。と言い出しました。

 

それを聞いて私は「それは全くもって違うよ。」と抱きしめることしかできませんでした。

 

誰かに学校でなにか言われたの??と聞くと、

 

「私黒人とは遊ばないの。」ってクラスメートの女の子に言われたといい、泣き出してしまいました。

 

ひえーーーもうきたか。。。。こんなに若い年齢であるんか。。

 

なんとかなだめて、世界には色々な人種があること、ママとパパも違う人種だということ、人種がちがくても友達だって家族だってなれるんだということ。みんな平等であるべきだということを話しました。

 

まだ5才だったので黒人の奴隷からの歴史を教えるにはまだ早いと思ったのですが、簡潔に話しました。有色人種と白人の違い。有色人種は差別されることがあること、黒人は差別をされやすいことを少しずつ説明しました。

 

あなたは黒人だから

あなたのことを肌のいろだけで判断して

いやがられることはこれからもあるよと。

 

悲しいことだし、間違っていることだし、あなたはな~~~~んも悪いことしてないよ。

 

ママはあなたの肌色が大好きだし、とーってもきれいだと思ってるよ。

 

ということを伝えました。

 

 

それからもことあるごとに話しています。

 

里子は今では少しずつ自分に自信が持ててきているようですが、それでも社会から自然と受けとるイメージがあるのでしょう、黒人であることを恥ずかしがったり隠したがったりすることがあります。

 

正解という対応はあるのかわかりません。

私たちがこうであってほしいという理想と現実は違うし、その理想の実現は大きな社会ではなし得ないことなのかもしれません。

 

 

今回の事件でジョージ フロイドさんが警察に押さえつけられているビデオが一瞬テレビに映ってしまったりしたのですが、(急いで変えましたが) 里子は心配そうに今のは??あの人どうしたの?ととても気になったようでした。

 

何でもないよ、と何もなかったふりもできたのかもしれませんが、子供は真実を教えられるべきだと私は信じているので

説明をしました。

 

 

黒人の人が警察に殺されちゃったんだと。

 

黒人であるということで不当な扱いをされてる人たちがまだ一杯いるんだよ。

 

今それでみんなが立ち上がって

 

みんなを平等に扱おうってやってるんだよ。と。命は平等だから。

 

 

まだまだわかってないけど、でも何となく黒人差別の現実はわかってきているようです。

 

先週末うちの町の市役所前でパレードをやっていました。100人程度の小さいものでしたが、みんなちゃんとマスクをしてある程度の距離をとって静かに平和に行進しました。

 

里子はその非日常な光景を見て怖がり、でも見つめていました。一緒に歩きたくないと言うので無理強いはせずに私がまず行進。

 

そこで旦那が里子の前サポートカウンセラーだった人が歩いているのを発見。彼はメキシコ系のアメリカ人で奥さんはメキシコの人です。

 

里子に気づいた彼は里子のそばに来て、ゆっくりと僕と一緒に歩こう。と誘ってくれました。

 

それに納得した里子は私の旦那に肩車してもらい、行進に参加しました。

 

行進にはしっかりと警察も二人パトロールしながら見回っており、私たちの姿を見てにっこりしてくれました。白人至上主義者らしい人が人が近づいてきてなんやら文句をいって来たときもさっと静かに対応に当たってくれていました。

 

私たちが先頭になっちゃったとき、みんなが里子の名前を上げて拍手して、里子は恥ずかしそうにも両手を上げて応えました。行進には白人、メキシコ人、色々混ざってそうな人、黒人、アジア人と色々な人種がいました。

 

黒人の男の人がビデオを撮りながら、世の中は変わっていくと信じてる。とコメントしていました。

 

 

アメリカがいやになることはたくさんあります。超絶資本主義、身勝手な個人主義、物質主義。生産性ばかりを求める仕事のやり方。(個人的な経験と勝手な見解で言っています 😆) 

 

 

でも声をあげられる自由があることは確か。(あげても聞かれるかどうかはおいといて。。)

 

 

いろんな人種が一緒になる美しさを体験できることも確かです。私はそこがアメリカで一番好きなところと言ってもいいかもしれません。

 

今回のことで、せめて私たちの家族のなかと小さなコミュニティのサークルでは肌の色に関係なく子供たちが胸を張れる環境を実現できますようにと祈りつつ、毎日努力をして勉強していく覚悟をさせられました。

 

色々な人がいていい。民族、生活習慣、肌のいろ、LGBT、障害。お互いみんなそのままで美しい存在だっていうことを認め慈しむ。

 

そんな美しいモザイク模様の世界が造られていくように、祈りながらできることを少しずつやっていこうと思います。

 

里子の未来がもっと希望で溢れていますように。。。




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