養子手続き終了 コウノドリとオランダへようこそ
(養子が8月10日に確定し正式に里子が我が子になりました。
里子と養子の道のりに関してはもっともっと書きたいことがあるので別ブログで始めます。これと同じ記事を載せて、そこから振り返りながらまとめていく予定です。こちらのブログでは子供に関してはこれを最後にします。そろそろガーデニングブログも少しずつやりたいので!)
私にはここ約3年間避けていたことがある。
それは漫画・コウノドリを読むこと、またはコウノドリのドラマを見ることである。
私には漫画好きの姉がおり、気に入った漫画があると教えてくれる。
海外からもネットで買って読めるようになったのはほんとありがたいことで、よく買って読んでいる。漫画を読むのは私のホームシックには良薬なのだ。もちろん日系マーケットに行って日本のお菓子を買って食べるのも大事だけれども。
随分前から姉には薦められていたコウノドリ。
表紙を見ただけでわかる。これは赤ちゃんや赤ちゃんを産む人、産科の話だろうと。
人が妊娠して子供を産む話をどうしても読む気になれなかったのが、2年半里子として育てていた子供が養子となった今、ようやく読む気になったのだ。その気分の変化には私自身も驚いた。
私たち夫婦は不妊症だ。
いろいろなことを経て、ここまできてやっとこの作品に触れられる気になった。
結果、はまった。
この1か月間寝る間を惜しんだり、子供をテレビ付けにしたりしながら(だってどこへも行けないし~とダメ母な自分に言い訳しつつ・・・)コウノドリ全巻読んだし(ちなみに漫画はかなり早く読めるので二日間の夜更かしで全部読んだ)
ドラマの方は時間かかったけどこれも全部で2週間ほどかけて夜更かししながら全部見た。
特別養子縁組の回では特別に涙が出たし
赤ちゃんを妊娠して無事に産む人たちの映像を見ても傷つかず、むしろ感動していちいち涙した。
不思議だ。
里子を里子として育てている間はどうしても見る気になれなかったのに。
養子は自分でおなかで育てて、痛い大変な思いをして産んだ子供ではない。私の子供は4歳と大きくなってから来た子だし、赤ちゃんの頃の彼を私は知らない。
私はこれが自分の道だとやはり納得したのだろうか。自分でもいまいちよくわからない。いろいろ大変なことを経験する人たちの話が多いからというのもあると思う。妊娠したこともない私は流産や死産のつらさは想像すらできない。
ドラマはドラマだから登場する旦那たちもなんだかんだいい人が多いし、お医者さんもいい人たちで熱意がある人ばっかり。きれいにまとめられてるし、感動するように作られてるってわかってるけど、それでもちゃんと妊娠と出産が当たり前に安全ではないこと、奇跡であること、社会問題や実際の子育てのつらさなども描いてくれているし、とてもいい作品だと思った。
最後まで全部見たくてシーズン1も2も見た。
それで最終回でまた涙が出た。
特に最終回にグッと来たのにはわけがある。
最終回に紹介されるダウン症の子供を持った親が書いたという、オランダへようこそ、という詩。
オリジナル英語版はWelcome to Holland.
妊娠して子供を待つ間のワクワクを、イタリア旅行を楽しみに計画することに例えた詩だ。
イタリアではこうしたい、ここにいくぞ、とワクワク楽しいことを想像しながら準備する。ついに旅行の日になってイタリアに向かったのに、ついてみたらオランダだった。
そしてあなたはここにいないといけない、と言われる。
もしイタリアに行きたかった、イタリアに行くはずだったのに、イタリアだったら、とずっと悲しんでいたら、オランダにあるきれいな風車もチューリップも、レンブラントの絵画にも気づけないかもしれない。オランダの良いところを楽しめないかもしれない。
というような内容の詩だ。
(たくさんネットに本文があるので興味がある方は検索してみてください。)
障害がある子をもつ親に向けて書かれたのだと思うが、悩みは小さかれ大きかれ、子育ては思ったようにいかないもの。誰にでも響くものがあるかもしれない詩だ。
私たちは子供が欲しくてもできなかった。不妊歴12年だ。けっこうな年月だ。
たくさんの人に出会って、里子・養子の道を行きなさいと言われた気がする私たちにとってもウンウンとうなずくものがある詩だ。
さらにグッと来たのにはもうちょっと理由がある。
私たちはこの詩の通り、オランダへ行ったことがある。
私の旦那はイタリア系だ。
付き合いだしたころからずーっと、一緒にイタリアに行きたいね。と言っているがまだ叶っていない。
里子を迎え入れる前年の2017年。姉が出張でドイツに行くという連絡をしてきた。
その時、私も行きたいな~。今ヨーロッパに行ったらどれくらいかかるかな~となんとなく検索したら意外と安いチケットが見つかったのだ。
それで旦那に言った。
ねえねえ、お姉ちゃん仕事でドイツ行くって言ってるんだけどさ、同じ時期に行って合流してちょっとヨーロッパ旅行しない?と。
ヨーロッパも地中海沿岸にしか興味がなかった旦那。とくにイタリアには前から行きたがっていた旦那は、え~、せっかくヨーロッパ行くならやっぱりイタリア行きたいじゃん。と消極的だった。
でも飛行機代は地中海沿岸の国は極めて高く、倍くらいした。
ドイツは私は以前にいったことがあってすごく気に入ってたので、いいじゃん、ドイツ楽しいよ。一緒に行けたら楽しいし。アイスランドから入るとめっちゃ安いチケットあるんだよ。と旦那に見せると、少しずつ乗り気になっていった。
まあそんなわけで計画を始めて、アイスランド、デンマーク、ドイツ、オランダを回る旅をすることにしたのだ。
夢のイタリア旅行ではない。旦那と一緒に、彼のおじいちゃんが産まれ育ったアマルフィ海岸の町へ行く夢の旅行ではなかったんだけど。イタリアでおいしいものをたくさん食べて美しいものにたくさん触れてローマ帝国の歴史を感じる夢の旅行ではなかったんだけど、結果北ヨーロッパへの旅行は新しい発見がたくさんあって、ものすごく良い旅になったのだ。
そして特に私たちが気に入ったのがオランダだったのだ。移住したい、と思うくらい。家の値段調べたり、ビザや言葉のこと教育システムのことなど調べちゃうくらい、気に入った。オランダで出会った森では美しさに涙を流した。
そんなことがあったので、この詩は特にグッと来た。
私が思い描いた人生は全く違う方向へ行った。
この道を行くからこそ見えてくるものがきっとあると信じていたい。私たち文化も生物学的な特徴もまったく違う3人が一緒に生きていくことに意味なんてないのかもしれないけど、私たち3人それぞれの人生、少しでも生きててよかったって思えることが多くなるように、願っている。
このオランダへようこその詩。コウノドリを見てからちょいと検索した。そしたら、これを読んだ、難しい障害をもつ子供の親が書いているブログが出てきた。彼女はこの詩に対しては少し否定的で、そんなノンキなこといってられなくて複雑な気持ちになると言っていた。だって実際難しい障害がある子への子育ては「ただ違う場所なだけ」とか、「のんびりした場所」なんていうこの詩とは少しずれがある。PTSDをもつ私の子供も同じだ。汚くて見たくない社会の闇を垣間見ることがあるからだ。唾をはかれ、髪の毛をむしりとられてるときにそんな呑気なこと言ってられない。でもその時彼女はこの俳句に出会ったといっている。
江戸時代の俳人水田正秀
「蔵焼けて さはるものなき月見哉」
私の蔵が焼け落ちた。ああ、これで月がみえる。。。
うん。これもしっくりくる。
思い描いたものが崩れ去って初めて気づくことがある。初めて見えることがある。
私は里子を受け入れてから暗くてつらい時間をたくさん過ごしてきた。でも今、私の人生の目的と目標が見つかったような気がしている。
単なる思い込みなのかもしれないけど。
養子の手続きが全部終わってから書こう書こうと思っていても、気持ちがまとまらなくて書けなかった。
でもなんかコウノドリのおかげで少し気持ちがまとまった気がしている。
私やっぱり、ドラマや漫画に簡単に影響される単純思考なんだな。笑
気楽に、やっていこう。
美しさに涙が出たオランダで出会った森