カリフォルニアの庭と黒猫と里子

庭・猫・健康・里子のことなど

里子のクリスマス

我が家に来たこの子は、セラピスト達にもソーシャルワーカーにもOne of the most severe cases。最悪のケースのうちの一つだと言われています。骨折や意識不明などで入院したことがないのがうそみたい。死ななかったのがすごいよ。。と言われるくらいです。まあこの子、強いし身体能力が高いので生きてこれたんだと思います。

毎日私たちが考えやっていることは沢山ありすぎてどこから書けばいいのか分からなくなってきました。でも話題をひとつに絞って、少しずつ記録を残したいと思います。


というわけで今回クリスマスが近くなってきたのでクリスマスの話を。



クリスマスが近づくとクリスマス商戦でめちゃくちゃ盛り上がるアメリカです。どこいっても、ネットでも、おもちゃの宣伝ばっかり。。。みんな浮き足立って興奮した雰囲気が広がります。母親達はストレスたまってるのでピリピリした空気もあります。



里子とのイベントはなかなか難しいのです。
なぜかというと今までどういうふうにイベントやホリデーを過ごしてきたか、私たちには未知だからです。


一応聞いてみました。「去年のクリスマスはお母さんと何かしたの?」

里子、「何もしなかった。。」と言って下をうつむく。。

「そうか、サンタさん来なかったの?」


「うん。サンタはクリスマスに来るの?プレゼント持ってくるの?」


「そうだよ。クリスマスツリーを飾ったことはあるの?」


「ない」


「そうか、去年は煙突のあるおうちにいたの?」


「ううん。」


「そうか、じゃあサンタさん、あなたがどこにいるか知らなかったのかも。手紙も書かなかったでしょ?今年はツリーを置くからサンタさんもどこにプレゼント置けばいいのかわかるし、煙突もおうちにあるからきっとおうちに入りやすいよ。あ、でも良い子にしてないと来ないからね!」

「うん。分かった。いたずらっ子だとダメなんだよね。」

「うん、そういう歌があるよね!知ってるのね。サンタさんに何をお願いしようか?」


「うーーん。リモコンで動くバイク!!」

という会話をしたのが3週間前。一応なんとなくの知識はあったっぽいのですが、体験したことは無かったみたい。

あー今年のクリスマスは楽しいものにしてあげよう!と私も意気込みそうになってたのです。。。

が。。



先週サンクスギビングが終わってからクリスマスツリーを引っ張り出して飾ることにしました。


ツリーの飾りが入った箱を出してきて、里子に見せて、どんな飾りがあるか自由に見ていいよ、好きなのあるかな?と言って私は台所に3分ほど用事を済ませに行きました。


そして戻ってくると。。。。。


里子、入ってた箱のそばに座り込み、飾りたちを床に投げ、包んであった紙などもごっちゃごちゃに散らかして、その真ん中で座って、割れそうなものをガチャガチャ音を立てて触っていたのです。


ひえーーーっ!


怒ってなげてたとかじゃありませんでした。これはまるで1-2歳の歩き始めたばかりくらいの赤ちゃんが色々入った箱から中身を出して散らかしてる図でした。


手に取ってみたことの無いクリスマスの飾りを不思議そうに眺めている大きな5歳の子供。。(身長119cm!)その姿はジャイアントベイビーでした。


ハッ!!Σ(´□`;)全然考えてなかった。。。ほんとに初めてなんだ!幼稚園児だけど、クリスマスに関しては1歳レベルなんだっ!!飾りみるのも手にするのも初めてなんだ!!


凄まじい環境から来たこの子はもしかしたらツリー自体見たことがないのかも?見たことあってもそれが何かわかっていなかった??


旦那が小さい頃から使っているクリスマスの飾りを壊される前に、慌てて「飾りは壊れやすいからそうやって出すものじゃなくて、1つずつ出して、丁寧に触るのよ〜。。。」と言って、とりあえずしまっちゃいました。

もう15個くらいの飾りを見ただけでいっぱいいっぱいになった里子はその後家の中を走り出して限界到達。


頭で処理できない情報量が入ると、この子、走り出し暴れだし、落ち着かなくなるのです。


その後落ち着いたあともツリーに対して興味もなく、飾りを見ることも無く、電飾を付けても消してしまいます。


何これ。ふーん。光が嫌だ。と。


なんにしても刺激が苦手です。
新しいことはなんでも苦手なのです。


飾りだけでこんなんですからプレゼントも気をつけなくてはいけません。アメリカの子供たちはXmasといえば親戚、友達など色々な人からプレゼントを受け取ります。ウッキウキの季節です。


持ち物を所有したことがおそらくなかったこの子は基本的におもちゃに対して愛着がなく、貰ったものも飽きるのが早い。。。お気に入りのおもちゃ、というものがなかなかありません。ここら辺も1-2歳のレベル。


親戚や友達は、張り切ってプレゼントをくれようとしたり、クリスマスを盛り上げようとしてくれるのですけれど、実はかえって里子の不安を掻き立ててしまいます。なんてったって〝普通のクリスマス〟は初めてだから。

この子はおもちゃを手に入れるより、一緒に遊んでくれる家族が何より欲しい。ずっと家族になろうって言ってくれるのを待っているんです。


私達はものにまみれて生きてるし、私はそういう世界で生きてきました。


でも里子に気付かされます。1番大切なのは一緒に毎日を過ごす家族と友達だと。プレゼントより、クリスマスより、家族と一緒に過ごす普通の毎日が何よりもの幸せなのです。


きっと子供はみんなそうなんだけど、忘れがちですよね。


大事なことを教えてくれる里子に感謝です。



まあそういう訳で、今年のクリスマスはシンプルに、最小限で。5歳で迎える初めてのクリスマスは静かに暖かく過ごせるといいな。それでも子供時代のいい思い出のひとつになってくれたらいいなと、願っています。